皆さんこんにちは。税理士の小川です。
先日、税理士変更を希望している法人の社長様と打ち合わせをする機会があり、
こんな不満を漏らしていました。

「所長とは契約の時に会っただけでなにもしてくれない」
「担当者に質問してもレスポンスが悪くまともな回答がもらえない」
「急な顧問料の値上げを要求された」

このような不満は、
契約前にその税理士事務所のことをきちんと把握していればある程度は防げるはずです。

そこで、全5回に渡って税理士事務所の実態について解説します。
皆さんの税理士選びの参考になれば幸いです。

第1回 規模別税理士事務所の特徴
第2回 税理士事務所の選び方
第3回 税理士事務所の探し方
第4回 税理士事務所との初回面談時でのポイント
第5回 税理士報酬について

今回は、第1回 規模別税理士事務所の特徴 を解説します。
税理士事務所は規模によって特徴が変わり、大きく分けると以下の4つに分類されます。

1. 1人税理士
2. 小規模税理士事務所
3.  中規模税理士事務所
4. 大規模税理士事務所

分類税理士担当職員パート総従業員数
1人税理士1人0人0人~1人0人~1人
小規模税理士事務所1人1人~5人1人~5人2人~10人
中規模税理士事務所1人~3人5人~15人5人~15人10人~30人
大規模税理士事務所5人以上15人~15人~30人以上

従業員数30人で大規模事務所というのは一般的な感覚からすると少なく感じるかもしれませんね。
割合でいうと 全体の約90%が10人以下の事務所で30人以上の事務所は0.5%
100人を超えるような大事務所は最大手の事務所規模となります。

以上を踏まえて、税理士を選ぶにあたって重要な要素別に解説していきます。

① 担当者

税理士事務所と顧問契約すると、ほぼ間違いなく担当者をつけられます。
その担当者の優劣によって満足度が大きく変わってくるのでとても重要な要素です。

■1人税理士

1人税理士の場合は税理士が直接担当します。なぜなら自分しかいないからです(笑)
この規模の事務所は数ある税理士あるあるのひとつ、 
「税理士先生とは契約の時会っただけでどんな人か全然わからない」
ということがありません。

また、税理士であると同時に自分自身も経営者であるため、
経営者目線のアドバイスができる傾向にあります。

デメリットとしては、良くも悪くもその人次第、
税理士との相性が悪ければ担当者を交代するという選択肢がないので
我慢して継続するか、解約するかの選択になります。

また、自分しかいないので病気やケガなど万が一の時、税理士業務ができなくなるリスクもあります。                 

■小規模事務所

税理士が担当して内部作業を職員にやってもらうケース
税理士がチェッカーとなり最終チェックをして担当は職員がやるケース
の2パターンあります。

税理士に直接担当してもらいたいのであれば、契約前の面談時に必ず担当者は
誰になるのか確認しましょう。(これは他の規模でも同様です)

前者の場合は、1人税理士に近いです。
直接税理士に見てもらえるし1人税理士よりはバックアップ体制も整っています。

後者の場合は、担当者がつくことになるのでその担当者次第になります。
これもケースバイケースですが、小規模事務所に税理士以外の実務ができる
優秀な担当者がいるケースは少ないので、税理士が担当ではない場合は注意が必要です。

また、他の規模でもいえることですが、今の規模がその税理士のゴール地点なのか、
さらに拡大したくて現在はその途中なのかは確認しておいたほうがいいですね。

■中規模事務所

この規模になると税理士(経営者)自身が担当することはほとんどありません。

税理士(経営者)は、営業や経営側なので、新規の顧問先に対して直接対応はしないでしょう。
その代わり幹部である勤務税理士が複数人います。

また、中規模事務所まで拡大するとチーム制を採用して幹部職員を中心とした5人程度のチームを組み、
数十社~100社程度担当する事務所も存在します。ただし、大規模事務所ほど組織が出来上がっておらず、
中規模事務所できちんとしたチーム制のシステムが構築されている事務所は少ないです。

結果的に小規模事務所と同様、1顧問先1担当者の税理士事務所が大多数です。
中規模事務所によくあるケースとしては、現担当者の退職による引継ぎが十分に行われておらず、
新担当者が御社の状況を理解しないまま担当に付くといったことがあります。

これは小規模事務所にも同様のことが言えますが、
中規模事務所は顧問先数が多いので税理士(経営者)の目が届かず、
引継ぎが中途半端なまま退職されることが多いです。     

■大規模事務所

30人以上の事務所になると税理士(経営者)自身が担当することは皆無といっていいでしょう。

その代わり組織がしっかりしているので誰が担当者でも一定のクオリティが確保されています。
担当者が独立等でやめてしまうことも多いですが、やめてもあまり困ることにはならないでしょう。

税理士(経営者)に会うことはほとんどないですが、安定したサービスを求める方は大規模事務所がいいでしょうね。

② 顧問料

続いて、税理士事務所を決めるうえで重要な要素として挙げられるのが「顧問料」です。
顧問料を低く抑える方法については第5回に解説します。

正直、いろいろなパターンが多すぎて規模というひとくくりでは分類できないです。
あくまでも一般論として今回は規模別の顧問料の傾向についてご説明します。

■1人税理士

この4つの規模の中では顧問料は高い傾向にあります。(中~高)
理由としては、前述したとおり税理士自身が担当することになり、
自身一人で稼げる売上高には限界があるので、どうしても1社当たりの顧問料は高くなる傾向にあります。

特に、あえて従業員を雇わずに1人税理士を選んでいる事務所については
この傾向が強く、顧問先の増加を望んでいないので安売りする必要がなく、顧問料が多少高くてもサービス内容や、自分自身を評価していただいて、それでも支払うという顧問先のみ税理士のほうが選ぶというイメージです。

例外としては、
開業したばかりでこれから拡大していきたい税理士
自身が最低限食べていけるだけ稼げればいいと思っている税理士

これらのパターンは1人税理士でも顧問料が低いケースがあり得ます。

■小規模事務所

この4つの規模の中では顧問料は低い傾向にあります。(低~中)

前述したとおり税理士事務所の90%は従業員数10名以下の事務所で
5名~10名の小規模事務所は全体の25%程度を占めています。

顧問料の傾向としては現状の規模がゴール地点なのか、
それ以上の規模を目指しているのかで大きく異なります。

前者の場合は、そんなに顧問先を増やす必要がないので、
価格競争に巻き込まれずに比較的高めの1人税理士に近いような顧問料になる傾向にあります。

後者の場合、顧問料が圧倒的に低くなります。
税理士事務所は従業員10人の壁があるといわれていて、
担当職員5名、パート5名を雇って経営を回していくには法人の顧問先が100社は必要になります。

最初の数十社については自身の人脈や紹介などでトントン拍子で増えていき順調に拡大できますが、
50社を超えたあたりから限界が来てしまい以降は税理士紹介サイトや自社のホームページからの集客に頼らざるを得なくなります。

そうするとそこで価格競争の波に巻き込まれてしまいますので、当然顧問料は低くなります。

また、従業員の雇用についても、10人ぐらいまでは自身の人脈で直接増やすことが可能ですが、それ以上増やすとなると求人サイトや人材紹介会社を使うことが必須になります。

ただ、税理士事務所に就職しようと考える方は東京都内の専門性の高い大事務所に就職したいと考える人が多く、優秀な人材を複数人確保することが、地方の小規模事務所では困難な状況になっています。

上記のような理由から、従業員数10名までは拡大したがその先伸び悩んでしまう税理士事務所がほとんどです。

■中規模事務所

平均的な顧問料か少し高めの顧問料になる傾向にあります(中~高)

前述の10人の壁を乗り越えた規模でいえば上位10%に入っている事務所で、
これも小規模事務所と同様で現状の規模をゴール地点としている
税理士事務所であれば、そこまで低い顧問料にはならないかと思います。

さらに上の規模50人や100人以上の事務所を目指している場合は、
価格競争に参加する必要があるので顧問料は低くなる傾向にあります。

小規模事務所との違いは、
顧問先数が多く金融機関や他士業からの紹介が増えるため
紹介でもある程度顧問先を増やしていくことが可能なところです。

よって、第4回で詳しく解説しますが
ホームページ展開による安売りや税理士紹介サイトを利用する必要がなく
小規模事務所よりは高い顧問料であることが多いです。

■大規模事務所

この4つの規模の中では顧問料は高い傾向にあります(高)

規模でいえば上位0.5%に入るほどの事務所なので、当然価格競争には参加しません。

そもそも小規模事業者の顧問契約は実質受け付けていないケースが多いです。
大規模事務所は規模的にはゴール地点に達していて、低価格では顧問契約を受けていません。
大規模事務所といわれる税理士事務所のホームページを見てもらえればわかります。
ホームページから集客する気が全然感じられません(笑)

大規模事務所は新規顧問先を紹介で獲得していることが多いです。
金融機関や証券会社、保険会社等と業務提携、
数ある顧問先、取引先からの紹介で拡大していくので
ホームページに低価格の料金を提示して集客や、
税理士紹介サイトを利用するようなこともまずありません。

以上、規模別に担当者と顧問料についてまとめてみました。

一覧表にすると以下の通りです。

分類担当者顧問料
一人税理士税理士(経営者自身)中~高
小規模税理士or税務担当者低~中
中規模税務担当者orチーム制中~高
大規模ほぼチーム制

次回は税理士事務所の選び方を解説します。